見出し

見出し

 介護現場における「腰痛問題」は、古くて新しい労働衛生上の問題です。
 「社会福祉施設の労働災害防止((一社)日本労働安全衛生コンサルタント会)」によると、社会福祉施設は平成12年に介護保険制度ができて以降、施設数は増加しており、介護労働者数は10年で1.7倍に増えてきています。
 その間の社会福祉施設において発症した休業4日以上の職業性疾病としての腰痛を厚生労働省調べで見ると、平成14年に400件弱であった腰痛発生件数は、平成24年には1,000件前後と、約2.5倍近く増加しており、介護労働者数の伸び以上に腰痛が発症していることがわかります。
 現在介護現場における腰痛問題対策は、介護人材確保の大きな課題になっています。

保健衛生業の中分類業種別腰痛発生件数(平成14~24年)
「社会福祉施設の労働災害防止((一社)日本労働安全衛生コンサルタント会)」より

 リフトを利用することにより、介護する方は持ち上げることに労力が掛からない分、身体への負担の軽減、特に腰痛の予防につながります。
 また、リフトに対しての安全な使用方法や痛くないように吊り上げる方法、吊られる方の恐怖心を和らげる方法などを知ることで、介護される方の安心感につながります。
 さらに、移乗動作中に吊られる方への声かけや気づかい・心配りなどができるようになり、コミュニケーションが深まります。
 下記にリフトを導入することのメリットをまとめてみました。

見出し

メリット 1 腰痛予防に役立つ

 人が安全に持ち上げることが出来る重量は、20kg~25kgと言われています。それから考えると「人が人を持ち上げて介護する」ということは、腰痛などの障害が発生する可能性が大きくなります。
 移乗介助において、介護される方を持ち上げる部分にリフトを利用することにより、介護スタッフを腰痛から守る安全な移乗介助が実現できます。

メリット 2 介護の質を維持する

 施設の場合、介護スタッフに腰痛などの健康問題が発生した場合、休暇を取る方や離職者が増え、代替要員の確保が必要になってしまいます。また、在宅介護において家族に腰痛などの障害が発生した場合、介護をする方、される方双方の生活の質が低下し、在宅介護が維持できなくなる可能性があります。
 リフトの利用により、介護する方の負担を軽減することは、介護人材の確保につながり、介護の質を維持することにつながります。

メリット 3 安全安心を実現する

 移乗方法が未熟な介護スタッフに移乗された場合、介助される方は強引に持ち上げられたり、立位をとらされたりすることにより苦痛が生じ恐怖感も生じます。また、状況によっては肋骨などの骨折につながる可能性もあります。
 介護スタッフ全員がリフトを利用し、介護される方を安全に移乗させることにより、介護される方や家族に安心感が広がります。さらに、移乗動作中に吊られる方への声かけや気づかい・心配りなどができるようになり、コミュニケーションが深まります。